マオリは1000年以上にわたり、ニュージーランドの海や森で得た食材で料理をしてきました。
マオリは故郷のハワイキから、クマラ(サツマイモ)、ヤムイモ、タロイモなどの食用植物を携えてやってきました。ニュージーランド産のクマラは甘みが強く、北島の亜熱帯地域で栽培されています。品種は赤、金、オレンジなどいくつかあり、風味も異なります。
根菜のほかにも、貴重なタンパク源として、キオレ(ポリネシア起源のネズミ)とクリ(ポリネシアの犬)も持ち込みました。
マオリはまた、多種多様な野鳥(マトンバードやモアなど)を狩り、魚介類を獲り、在来のシダ、ツル植物、ヤシ、キノコ類、果物、実や種を採集しました。
パケハ(ヨーロッパ人)の入植者がニュージーランドに到着したとき、それまでにはなかった食材として、小麦、ジャガイモ、トウモロコシ、ニンジン、キャベツ、その他の野菜が入手できるようになりました。さらに、羊、豚、ヤギ、家禽の飼育も始めました。
ジャガイモはクマラよりも栽培しやすく、豚はすぐに肥育できたため、豚肉とプハという菜もの、そしてジャガイモで作る「ボイルアップ」は新しい定番料理となりました。
コールドプレスのみで加工精製をしないハラケケの種の絞り油は、成分の添加も除去もされていないので、必須脂肪酸のオメガ3、オメガ6、オメガ9、抗酸化物質とビタミンを豊富に含んでいます。
1769年にジェームズ・クック船長と英国の植物学者ジョセフ・バンクスがマーキュリー・ベイで見出した際には、ティーツリーと名付けられました。マヌカの木を砕いたチップを燻製に使うと、特有の風味が加わります。マヌカで有名なのは何といってもハチミツです。マヌカハニーには優れた抗菌性と薬効があり、これを応用した製品が続々と開発されています。
ニュージーランドの原生林は湿度が高く、日陰を好むシダは312種もあります。ただし、その大半は発がん性物質を含み、食用になるのは7種だけです。ブッシュ・アスパラガスとも呼ばれる食用のシダの芽は、淡い緑色で茶色の斑点があります。わらびのように、葉が広がる前に摘み取って、山菜として使われます。
プハ(ノゲシ)は雑草として広く見られ、茎を折ると乳白色の液がしみ出します。茎と葉は生で食べることができますが、苦味があります。調理しても苦味は残りますが、流水でしっかりと揉み洗いすると和らげることができます。豚肉と一緒に料理して食べます。
カワカワの木は主にニュージーランドの沿岸地域の湿った茂みに自生します。ハート型の葉を乾燥させてすりつぶしておき、ハーブとして使うと、豊かな森の緑を思わせる、ミントに少し似た風味が加わります。
コウフィティフィティはニュージーランド各地の淡水河川や小川のほとりに生えています。生でも調理しても食べられます。マスタードに似た柔らかな辛味があります。
パウアは、青緑と虹色の美しい貝殻の内側に黒い身のある貝です。身が黒いのは表面だけで、中はクリーム色をしています。パウアは海の神からの贈り物、タオンガ(宝物)とされています。しっかりとした肉質と香ばしい海の風味が珍重されています。貝殻はアクセサリー作りや伝統的なマオリの彫刻(主に目の表現)に使われています。
ブラフ・オイスターはニュージーランドの珍味として有名です。このカキを獲る漁師の多くは何世代にもわたって海で暮らしてきた人々です。シーズンは3月から8月までです。
クルマエビくらいの大きさの淡水性のエビが食用になります。
パーナ貝の名でも流通しているニュージーランド産グリーンシェル™・マッスルはムール貝の一種で、究極の健康食品です。タンパク源となるだけでなく、低脂肪低カロリーで、オメガ3の非常に優れた供給源でもあります。しかも風味豊かです。
ハンギは調理に数時間かかるご馳走です。鶏肉、羊肉、豚肉、カイモアナ(シーフード)、野菜(特にクマラ)などを地中に熱源となる焼け石とともに埋め、閉じ込めた熱でじっくりと蒸し焼きにします。
レウェナ・パラオア(ポテト・ブレッド)は発酵に時間をかけて、甘みとほのかな酸味を引き出したパンです。食感が素晴らしく、風味も豊かです。
ティパ(ホタテ)は海底を根こそぎさらうような方法で捕獲されるため、持続可能性に問題があります。シーフードの選択肢としては最悪と言えますので、食べないようにするのが一番です。
ホワイトベイトとも呼ばれるシラスの漁はヨーロッパ人が定住する前から行われてきました。今日でも熱心な人は春になると水中を歩いてシラスを集めています。
しかしながら、環境保全省によると、ニュージーランドの5種のシラスのうち4種が現在絶滅の危機に瀕しているということです。シラスのフリッターを避けることで、責任感のある旅行ができます。
ニュージーランドで最も人気のある魚のひとつで、フィッシュ・アンド・チップス店のメニューによく登場しますが、資源としては危機的なレベルまで急落しています。
キナはマオリの伝統的な食べ物で、生で食べると珍味になります。殻を岩で割って開き、卵の部分を手で取り出して食べます。
捕獲方法によっては持続可能性に配慮することができます。ダイビングで採集されたものだけを選んでください。網で海底をさらう漁法は環境にダメージを与えるため、避ける必要があります。
この鳥の名前は、肉の風味がマトンに似ていることと、ヒナが羊毛で覆われているように見えることに由来すると言われています。成長は小型のカモくらいの大きさです。シーズンが非常に短いため(4月1日から5月31日まで)手に入りにくく、高音がつきます。
通称カンガ・ピラウ(マオリのお粥)とも呼ばれています。まずはとうもろこしを軸ごと袋に入れて、きれいな小川に最大6週間置いて発酵させます。その後、粒を穂軸から外し、すりつぶしてお粥にします。できたての温かい状態だけでなく、冷ました後でも食べられます。
昔から幼虫が食用にされてきました。倒木を掘って探します。生で食べると、ピーナッツバターのような味と食感があります。