ネルソン・レイクス国立公園は、木々の生い茂る渓谷を境界として分けられた地域です。小さいエリアながら、見所のぎっしりつまったこの公園は、熱心なハイカーや登山家にとっても挑戦しがいのある大自然が待ち受けています。
マオリの伝説では、偉大なる酋長ラカイハイトゥが「コ」という棒を使って穴を掘り、ひとつの穴はロトイティ湖(小さな湖水という意)、別の穴はロトロア湖(大きな湖水という意)となって、ネルソンの湖が造られたと言い伝えられています。ネルソン・レイクス国立公園は、花の蜜を餌とする様々な原生の鳥類が生息する、美しいブナ林で知られています。この自然に恵まれた公園は、鳥類だけではなく、人間にとっても、憩いの楽園となっています。公園近くにあり宿泊などの設備が整っている村、セント・アーナウドは、公園を探索するのに最適な拠点となります。
ネルソン・レイクス国立公園の壮大な景観は、氷河期時代末期の巨大な氷河によって形造られたものです。その氷河によってできた地形は今でも多く残っていますが、ロトイティ湖とロトロア湖の2つがその最たるものです。
1月から4月にかけて、ブナ林で厚く覆われた国立公園の低地部分は、蜜できらきら光り、おいしい甘い香りで満ち溢れます。木の幹から突き出した糸のような管の端からしたたり落ちる蜜は、カイガラムシが木の樹液を純粋な糖に変えることによってできたものです。多くの原生の鳥類や爬虫類、昆虫にとって、この蜜は高エネルギーな食料源になっています。
環境保全省は、カカ(在来種でオウムの一種)やカカリキ(イエロー・クラウン・パラキート、黄色い冠のインコ)、ブッシュ・ロビン(コマドリ)といった鳥類、巨大カタツムリや原生のコウモリなど、希少種保護のために、公園から有害な小動物を駆除することに積極的に取り組んでいます。
環境保全省ではハイカー用に「サービス・ハット」、「スタンダード・ハット、「ベーシック・ハット」の3つのタイプのハット(山小屋)(opens in new window)を公園内に用意しています。「サービス・ハット」にはマットレス付きの寝台に、給水、暖房、トイレ、洗面所の設備が備わっています。ハットによっては調理設備が付いているところもあります。「スタンダード・ハット」にはマットレス付きの寝台にトイレと給水設備が備わっています。一方、「ベーシック・ハット」には限られた設備しか付いておらず、雨露をしのげる程度の避難所的なシェルターとなっています。
セント・アーナウドにはモーテルやロッジの他、2つのキャンプ場があります。ロトロア湖周辺にはフィッシング専門の高級ロッジや簡素なキャンプ場があります。
ネルソン・レイクス国立公園は、ハイキングやトレッキングを目的としている人々が多く訪れます。日帰りハイキングでも、公園内に網の目のように張りめぐらされた短いコースに従って歩けば、湖の眺めや鳥のさえずり、原生のブナ林などを楽しめます。本格的なトレッキングを目指すなら、普通3日間ほどかかるアンジェラス湖周遊コースや、そびえ立つ山々、遠く離れた湖や峠を通る、所要約5日間の「トラバース・サビーン・サーキット」に挑戦してみましょう。
1920年代に建てられたロトロア湖の高級フィッシング・ロッジは、この地域で有名なブラウン・トラウトを狙う人々にとっては、最適な拠点となります。この周辺にある多くの川や小川は、道路からアクセスしやすいのが特徴です。
セント・アーナウドの北に位置するレインボー・スキー場では、スキーでもスノーボードでも、あらゆるタイプの地形での滑走を楽しめます。スキー場のメンバーではなくても、施設を利用できます。スキー場ではスムーズなパウダースノーを保つために夜間人工降雪機を使用しています。