マオリの人々の間ではたくさんの伝説(プラカウ)が語り継がれています。特に有名な伝説とそれが息づく場所をご紹介しましょう。
マオリの伝説に登場するマウイ・ティキティキ・ア・タランガは生意気で利口な半神半人で限界に挑戦することを好んでいました。ある日、兄弟たちがマウイを仲間はずれにして釣りに出かけると、マウイは彼らのカヌーの中に隠れており、沖まで出たところで姿を現しました。そしてこの時、マウイはかつてない大物、ニュージーランドの北島を釣り上げたのです。
北島のイースト・ケープにあるヒクランギ山はマウイが北島を釣り上げた際に最初に海上に現れた場所だと言われています。マウイの直系の子孫であると自負する地元のナティ・ポロウ族の人々にとって、この山は神聖な場所です。
ヒクランギ山を訪れるならぜひ地元のマオリのガイドに案内してもらいましょう。マオリの伝説に耳を傾けながら、山の中腹にあるマウイとその家族を象った彫刻を鑑賞することができます。
現地ではナティ・ポロウ族(opens in new window)の人々が、マウイの彫刻を見に行くガイド付きハイキングや四輪駆動車ツアー、山頂で日の出を見るためのトレッキングを催行しています。
タネ・マフタ(森の神)はマオリの伝説における重要な登場人物です。6人兄弟の一番上だったタネ・マフタは、固く抱き合った空の父(ランギヌイ)と大地の母(パパ・トゥ・ア・ヌク)の間の闇の世界で暮らすのが嫌になっていました。そこでタネ・マフタは二人を引き離して私たちが今日暮らす光の世界(テ・アオ・マラマ)を作り出したのです。
北島北西岸のワイポウアには現存する最大規模のカウリの森があり、中には樹齢2,000年以上の木もあります。この森で最も古く、そして崇められているのがテ・マトゥア・ナヘレ(森の父)と、伝説の森の神の名が付けられたタネ・マフタです。
フットプリンツ・ワイポウアではニュージーランド固有の動植物の楽園となっているこの森でガイド付きツアーを催行しています。ツアーではタネ・マフタの物語をはじめ、この森や神々にまつわるマオリの伝説を聞くことができます。マオリのガイドがカウリの巨木への挨拶の儀式として歌う聖なる歌(ワイアタ)を聴けば、心が震えるに違いありません。
ヒネモアとトゥタネカイはニュージーランド版のロミオとジュリエットです。二人の仲は情熱的で、そして禁じられたものでした。しかしこの物語はハッピーエンドで終わります。危険を顧みず二人の愛の強さを証明し、家族に認められたのです。
ヒネモアとトゥタネカイについて知るには物語の舞台であるロトルア湖に浮かぶモコイア島へ行ってみましょう。カワラウ・ジェットではジェットボートでモコイア島を訪れるツアーを催行しています。地元のテ・アラワ族が二人の恋物語を生き生きと語ってくれるでしょう。
島にはヒネモアが疲れを癒したという温泉「ヒネモア・プール」があり、足湯を楽しむことができます。マオリの伝統的な歓迎の儀式、マオリの料理、固有の植物や野生の鳥を観察するブッシュウォークなども体験できます。
祖先パイケアがトホラというクジラの背中に乗り、新天地を求めてニュージーランドへやってきたというマオリの伝説があります。この物語は人間と自然界との精神的な結びつき、そして自然が悪用されるのではなく尊重されたときにいかなる可能性がもたらされるかを表しています。
ウィティ・イヒマエラの小説『クジラの島の少女』はこの物語からインスピレーションを受けており、その後同名の映画が作られ数々の賞を受賞しています。
南島のカイコウラ沖には多くのクジラが生息しています。映画『クジラの島の少女』に出てくるような大きなクジラを見たいなら、カイコウラへ行きましょう。
ホエール・ウォッチ・カイコウラのツアーに参加して、大自然の中でカイコウラの野生動物について学び、パイケアの伝説やその他の物語に耳を傾けましょう。マオリの人々と海との絆を体感できるに違いありません。