畏敬に満ちたハカを実際に目にするときは、心して臨みましょう。世界でも有名なマオリの伝統舞踊、ハカの迫力は圧倒的です。
ハカは先住民マオリの伝統的な踊りで、儀式や戦闘に臨む際に披露されます。一族が団体で行うハカは、部族の強さと結束力を表現しています。
足を踏みならし、舌を突き出したり、リズミカルに体で手拍子をとったりしながら、大きなかけ声に合わせて舞い踊ります。かけ声の内容は、一族の歴史と先祖にまつわる詩が一般的です。
古来ハカは異なる部族が出会う場面で行われてきました。
例えば、戦場では敵と対面する前に準備運動を兼ねてハカで士気を高める一方、和平を結ぶ際にもハカが披露されました。
ハカは現代も暮らしの中に息づいており、誕生日や卒業式、結婚式、お葬式、客人を歓迎する儀式など、社会的に重要な場面で敬意をもって披露されます。
ハカの相手を威嚇するという面は、スポーツにも受け継がれています。ラグビーの試合を目前にニュージーランド代表オールブラックスが行うハカの迫力は圧倒的です。
オールブラックスでおなじみのハカ「カ・マテ」は、1820年代にマオリのランガティラ(族長)テ・ラウパラハによって作られたものです。オールブラックスが試合前の儀式として披露するようになってから、カ・マテは世界中で有名になりました。
ニュージーランドの女子ラグビーチーム、ブラック・ファーンズもハカを踊ることで知られています。国際試合の前に彼女たちが行うハカ「コ・ウヒア・マイ」は、知らしめよ、という意味で、作者はホフェトゥ・ティピワイです。
ブラック・ファーンズの選手たちは、このハカ・ワイアタを行う度に、自らの文化的なルーツと伝統の尊さを確かめています。
ハカをするのは男性だけ、というのはよくある誤解です。
男性限定のハカも実際には存在しますが、誰でも行うことができるハカもあれば、女性限定のハカもあります。
マオリでない人もハカを習うことができますが、背景にある文化や伝統を尊重することが大切です。言葉を覚えるだけでなく、背後に込められた意味やそのハカの重要性、そして何を表現した踊りなのかを理解することが望まれます。
マオリの伝説によると、ハカは生命の祝福として始まったということです。
太陽神タマ・ヌイ・テ・ラとその妻、夏の神ヒネ・ラウマティには、タネ・ロレという名の息子がいました。
夏の暑い日には、タネ・ロレは母親のために踊り、それが熱気を震わせるのだそうです。軽快で素早いその動きは、すべてのハカの基礎となっています。
オールブラックスのラグビーの試合を観戦する以外にも、ハカを見られる場所はたくさんあります。